JA通信編集部がゆく!

色とりどりの鮮やかさに 心まで華やぐ福岡のバラ

2021.10.01
お花
カボプリオ3世

執筆者

E.T
ライター歴1年目です。
好きなことは手の込んだ料理をつくること。丁寧な言葉でわかりやすい文章を目指します!
福岡県のバラの出荷量は全国4位。中でも福岡市は県内1位の出荷量を誇り、福岡市西区の北崎・元岡地区では、年間379万本のバラが生産されています。この地でバラ農家を営む濵地芳典さんは、以前は東京で会社員として働いていましたが、人手不足の実家を手伝うために、地元へ戻り就農しました。少しでも知識を増やしたいと農業大学校にも通い、現在は親子でバラ栽培に携わっています。
いちばん美しい姿で 消費者のもとへ届ける。
収穫したバラは、まず良い花と悪い花の選別を行い、同じ長さのもので50本単位にまとめて、2日おきに出荷します。「僕たちが見るのはいつもつぼみの状態」と濵地さんが言うように、花が開ききってしまうと規格外で販売できなくなるため、刈り取った直後と選別後は開かないように冷蔵庫で冷やしておき、店頭に並ぶ頃に全開になるように調整します。濵地さんが栽培しているバラは全部で12品種。多くは市場へ出荷されますが、一部直接販売もしており、近隣の方が買いに来ることも。またJA福岡市の直売所「博多じょうもんさん」でも販売しています。
赤やピンク、オレンジなど 個性あふれる色の世界
濵地さんが手がける品種のうち、特に珍しいのが「オークランド」。上品な淡いオレンジの花を咲かせるバラで、九州では濵地さんが唯一の生産者だそうです。その他、光沢のある濃い赤が特徴の「アマダ」、ピンクがかったオレンジが可憐な「カルピィディーム」、くすみのないピンクが目を惹く「ブロッサムピンク」も人気。用途に合わせて色を選べたり、想像もしなかったような色に出会えるのも、バラの大きな魅力と言えます。
贈る人も贈られる人も 特別な気持ちに。
濵地さんがバラを育てる上でこだわっているのは、何と言っても見た目の美しさ。まっすぐで長い茎のバラになるよう、樹と樹の間にネットを張り巡らし、花が倒れないように整えるとともに、夏場には冷房を効かせて常時20度前後に保つなど、バラにとって快適な環境づくりを徹底しています。
〝愛〟にまつわる花言葉が多く、1本なら〝ひと目惚れ〟、100本なら〝100%の愛〟など、贈る本数によっても違った意味を込めることのできるバラ。コロナ禍で結婚式などのイベントが減っていることもあり、もっと普段の生活の中でバラが登場するシーンを増やしていきたいと濵地さんは考えています。その一環として、福岡市が主催する「一人一花運動」に参加したり、今年の1〜2月に行われたイベント「フラワーバレンタイン2021」では、濵地さん自ら花束を抱え、天神の街でバラを配り歩きました。「九州男児には特に、バラはキザなイメージがあるのかな(笑)。でも、贈る側も贈られる側も特別な気持ちになれるのがバラの魅力だと思うんです」と濵地さん。ふとした時の手土産や、普段の食卓にちょっぴり華やかさをプラスするツールとして、カジュアルな使い方をしてみるのも素敵なのではないでしょうか。